クラフトバンク総研

「VISION MAP」浸透を基軸に、角丸建設が新たな領域に挑む

更新日:2026/6/19

 角丸建設(静岡県藤枝市)の代表取締役社長に、小倉達也氏が就き2年が経過した。親会社であるコニシ(大阪市中央区)の会長からの提案により、引き受けることにした重い責任。前職では、大手ゼネコンの営業責任者として組織を統括しており、定年まで勤め上げることのみを考えていた。しかし、会社が長い歴史の中で、地域との強固な繋がりを確立してきたこと。また、建築・土木の双方において、今までにない案件にもチャレンジする余地がある上に、会社の経営体質も更に強化できると判断し、トップを担う決断を下した。就任後も、要職の人材をゼネコンから引き抜くなど、常日頃からアップデートを心掛けている。

 会社では現在、昨年末に策定した「VISION MAP」の浸透を心掛けている。これは社員の意見を1年間かけてヒアリングした内容を反映させており、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の各パートを明記しているが、小倉社長がポイントと位置付けているのは、「『余暇と余生を楽しめる会社』という箇所だ」と指摘する。社長を務めるに当たり、最も重視することを「社員の幸せである」と定義。この大前提に立つと、「社員が誇りを持って働ける職場に変える必要があった」と経緯を語る。実際に以前の休暇取得数は100日を下回り続けていたが、近年では130日に増加を果たし、給与などの待遇面を大幅に改善した。「企業の継続性を考えると、とにかく社員の人生を充実化する必要があった。その上で、ベテランと若手の融合をどう果たすかなど、具体的な経営課題の克服に取り掛かっている」と明確なスタンスを示す。今年度は、高校を卒業したばかりの新卒社員が4人ほど入社した。会社が明示した指針に若手が共鳴した結果が出ており、今後はこれまで培ってきた知見が、どのような形で仕組み化されていくか注目である。

 小倉社長は、会社としての目標を「建築の売り上げを70億円、土木を30億円に引き上げること」に設定している。実現には設計部門も強化し、今まで静岡県内には存在し得なかった、質感のある成果物を提供し続ける必要がある。一朝一夕では解決しない問題は多いが、「建設業ほど、多くの人々が集結して1つの物を作り上げられる産業はない。この魅力を未来永劫、継承し続けられるよう、私は今与えられた役割を全うするのみだ」と確固たる覚悟を示す。現在は「藤枝から静岡をより良い環境に変えていくこと」を目的に、金融機関とも連携しM&Aの検討も進めている。経営理念に「造ると創るがつながると、ひとつになる。」を掲げる角丸建設。小倉社長の飽くなき挑戦は始まったばかりである。

新着記事

  • 2026.08.21

    業界で最も信頼される大規模修繕工事会社を目指す 大和

     大規模修繕工事を手掛ける大和(横浜市中区)が、業務効率化を加速させている。2021年には、社内に「IT推進企画室」を新設。強固な情報セキュリティの構築や、様々なデジタルツールを導入したことにより、生産性向上を強力に進め […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一
  • 2026.08.12

    新理事長の就任を機に、青山が鉄筋業の生き残りを模索

     今年5月に開催した石川県鉄筋業協同組合の通常総会にて、理事長に青山(金沢市)の青山毅士社長が就任した。20年もの間、1人で理事長を務めた小寺洋志裕氏(コデラ・代表取締役会長)から引き継いだ重責。青山社長は「今年度の予算 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.08.07

    DX駆使の矢野興業が、県内の生産性向上をサポート

    「それならば、全てを君に任せるから、責任を持って取り掛かってほしい」。  矢野興業(宮崎市)の辻清常務が、「今のやり方のままでは、必ず会社は潰れるので辞めます」と上層部に手紙を送った直後、現・会長の矢野文昭氏から電話で命 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.08.04

    「ホームデコ」が好調のフィディアが、時代に沿った経営を継続へ

    フィディア(鳥取県米子市)には、創業から公共工事を主軸としながら、リフォーム・ガーデニング事業である「ホームデコ」を、30年に渡り展開してきた実績がある。多様な組織の舵取りを担う人物が武良靖之社長。「時代の流れに沿った新 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇