「共創」をテーマに、東北アライアンス建設が新たな価値を提供
更新日:2026/6/9
2025年6月に東北アライアンス建設(福島県郡山市)が設立した。東北6県を代表する地場建設会社7社と、みずほ銀行(東京都千代田区)との共同出資により創設された同社。参画企業合算で売上945億円・従業員2234人規模となる連携体制の会社が掲げるのは「共創」という壮大なテーマである。代表取締役を務める隂山正弘氏(隂山建設・代表取締役社長)は、「完璧を目指すより、スピード感を持って動きながら磨き上げる」と自身のスタンスを語る。東日本大震災を教訓にした広域連携体制の構築と、県境を越えた新たなビジネスモデルを模索するため、強固な理念で繋がる経営者の集結が実現した。


同社が「共創」の領域として打ち出すのは、域内経済循環の促進とDXの加速化、災害対応力の強化という3つの分野だ。これらを具現化するために競合同士がスクラムを組み、新たな価値を提供するために邁進する。隂山社長は「従来までの構造では、各社が独自に持つ特有の知見は共有されず、業界全体で起こるべきイノベーションを阻んでいた。これらの障壁を当社が打破できるよう、慣習に囚われない施策を打ち出したい」と意欲を見せる。かつてのライバルから協力し合う関係性になり、現在は対等な立場でノウハウを持ち寄る関係性に変化した。「業界全体を変革してみせる」という信念は大きな反響を呼び、設立直後から全国の建設会社だけでなく、国土交通省や経済産業局関係者からの問合せや意見交換の機会も複数回あった。同社が設定したピンポイントな課題点が、的を射ていたと理解できるエピソードである。

技術とネットワークの融合を掲げる東北アライアンス建設は、今年2月にフルテック(札幌市中央区)などの異業種6社と、戦略的パートナーシップ協定を締結した。5月26日には、同社の協力会社らが加盟する「東北トラスティア事業協同組合」の発足総会を宮城県仙台市で開催。国内最大規模を目指すこの組合が照準を定めるのが、共同購買による競争力強化や人材育成・人材交流の促進である。「協力会の技術と経営を、従来の縦だけはなく、横にも活かせるよう、各々の関係性を深化させることを目指す。成功すれば業界の未来を塗り替えられるはずだ」と力強く語る。地場の建設会社と協力会社、パートナー企業が対等な立場で連携する「横の繋がり」を拡張させることで、業界全体に新たな潮流を生み出す見立てである。

今後の詳細に関して、隂山社長は「どのような形に行き着くかは分からない」と率直に答える。しかし、その直後に「それでも全力でやり切ることに変わりはない」と語る言葉に迷いは皆無だ。人手不足・災害対策・技術革新など、業界が直面する難題と真摯に向き合い、東北から新たな結び付きを追求し続ける。単独では成し得なかった成長を、連携・連帯の力により成し遂げてみせるという確固たる意志。共創に舵を切った偉大なる挑戦は、業界の常識を革新する確かな試金石となるはずだ。
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この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








