クラフトバンク総研

「主役は社員」のテクノミツボシが、独自経営を加速化へ

更新日:2025/6/2

テクノミツボシ(滋賀県甲賀市)の谷口学社長は、2007年に4代目の代表に就任以降、社内の風通しを良くするため、社員が率直な意見が言い合える環境の整備を手掛けてきた。真っ先に実施したことは、社長室を全面的に開放したこと。それまで会社を率いていた義理の父でもある先代の社長が、実直かつ一徹な傾向が強かったため、会社では給与の交渉や些細な相談ができる体制ではなかった。これを受け「自分がトップに立った時は、この状況を変えよう」と決意。現実と向き合い、相互理解を前提とした姿勢を開示すると、次第に社員からも本音が垣間見られるようになり、「徐々にだが社内の風土を変え始められた」と胸を張る。

業界全体で人材不足が深刻化する中、2023年1月から現場管理や職人などの中途採用を本格化した。当初は応募がゼロと悲惨な状況だった。しかし、現在はリファラルも含め、飲食・看護など異業種からの参入も増えている。特に谷口社長の「職場の雰囲気が悪くなる前に、新しい仲間を迎え入れよう。人間だったらOK!」という特有の考えが、多くの社員に突き刺さり、定期的に社員が推薦に来る嬉しい状況を生み出せている。「企業の競争力を高める鍵は、社員を最重視して成長のサポートに徹すること。社員を『人財』と念頭に置いて育成することで、将来的には会社の財産に変貌すると信じている」と確固たる信念を述べる。中小企業の強みは、家族のようなチームワーク。この原理原則に基づき、谷口社長が地道に続けてきた努力が、今まさに実を結ぼうとしている。

電気・管・土木工事など、設備に関するプロフェッショナル集団として名を馳せるテクノミツボシは、「常に研鑽を重ねた技術で社会に貢献し、地域に必要とされる企業を目指すこと」を経営理念に掲げる。これを実現するための必須事項を聞くと、「やはり社員の幸せを追求しながら、利益を生み出していくことだ」と即答する。昨今の建設業界を取り巻く環境は厳しく、景気に左右されるケースも多い。しかし、「『主役は社員』というスタンスは変えない」と並々ならぬ思いを堅持する。既に「人は企業の為に働くのではなく、自らの為に働く」「能ある者の爪を引き出せ、能ある者は自らの爪を隠すな」という概念も全社員に浸透しており、社内は活気に満ち溢れている。谷口社長が揺るぎない覚悟で突き進めた社風変革。一朝一夕では到達できない、この過程にこそ値千金の価値があり、人材確保に注力する企業が参考にすべき点が多いはずだ。

新着記事

  • 2026.08.21

    業界で最も信頼される大規模修繕工事会社を目指す 大和

     大規模修繕工事を手掛ける大和(横浜市中区)が、業務効率化を加速させている。2021年には、社内に「IT推進企画室」を新設。強固な情報セキュリティの構築や、様々なデジタルツールを導入したことにより、生産性向上を強力に進め […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一
  • 2026.08.12

    新理事長の就任を機に、青山が鉄筋業の生き残りを模索

     今年5月に開催した石川県鉄筋業協同組合の通常総会にて、理事長に青山(金沢市)の青山毅士社長が就任した。20年もの間、1人で理事長を務めた小寺洋志裕氏(コデラ・代表取締役会長)から引き継いだ重責。青山社長は「今年度の予算 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.08.07

    DX駆使の矢野興業が、県内の生産性向上をサポート

    「それならば、全てを君に任せるから、責任を持って取り掛かってほしい」。  矢野興業(宮崎市)の辻清常務が、「今のやり方のままでは、必ず会社は潰れるので辞めます」と上層部に手紙を送った直後、現・会長の矢野文昭氏から電話で命 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.08.04

    「ホームデコ」が好調のフィディアが、時代に沿った経営を継続へ

    フィディア(鳥取県米子市)には、創業から公共工事を主軸としながら、リフォーム・ガーデニング事業である「ホームデコ」を、30年に渡り展開してきた実績がある。多様な組織の舵取りを担う人物が武良靖之社長。「時代の流れに沿った新 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇