クラフトバンク総研

馬淵建設が「不屈の精神」で未来を変える

更新日:2026/6/26

 馬淵建設(横浜市南区)が、採用基盤の安定化に向けたブランディング強化を加速させている。昨年に開設した公式Instagramでの積極的な情報発信に加え、オリジナルキャラクター「うまぶちくん・まぶりん」を載せた看板広告を横浜スタジアムや京急上大岡駅に提示するなど、建設業への親しみやすさを打ち出す施策を展開している。プロジェクトを牽引するのは中村晃大取締役。「急速に少子化が進む中、特に土木を学べる学校が減少し続けている。学生を待つだけでなく、自ら魅力を発信することが不可欠と考えた」と背景を語る。同社は今年度、20人の新卒を採用するなど目覚ましい成果を遂げているが、中村取締役は「業界を挙げてその長所に磨きをかけ続けること。それこそが、持続可能な発展への唯一の道だ」と冷静に状況を見極めている。

 同社は、建築・土木と多岐に渡る案件を擁し、近年では工場や事務所ビル、学校といった非住宅分野での需要を増大している。この旺盛な引き合いに対し、最優先課題に掲げるのが「徹底した業務の効率化」である。全社的にDXを駆使するため、BIM・CIMの導入やタブレット端末を用いた施工管理の高度化を推進。土木・建築の各部門にサポートチームを配置し、書類作成などの事務作業を遠隔でバックアップする体制を敷いたことで、技術者が現場管理に専念できる環境を構築した。中村晃大取締役も「紆余曲折を経たが、組織一丸で生産性向上を図れる仕組みが作れてきた。今後、更なるブラシュアップをしていきたい」と示している。

 中村取締役は、新卒で馬淵建設に入社し、営業職として着実にキャリアを積み重ねてきた。その歩みは決して平坦なものではなく、リーマンショックや東日本大震災といった苦境を現場の最前線で体験。地元・横浜での伝統行事「横浜開港祭」の実行委員長を務めた2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、開催以来初めてとなる実地での開催中止に遭遇した。未曾有の逆境に立たされながらも、横浜市や地元の学校に対しマスクの寄贈や、オンラインでの動画配信を通じて、祭りの魅力を絶やさぬよう奔走した経験を振り返り、「厳しい制約下でも何ができるかを考え抜き、行動し続けた軌跡が今の私を作り上げる形となった」と今までの経緯を語る。

 2029年には創業120周年を迎える。地元から求められる声を的確に捉えるため、中村取締役は「学生や地域の方から『一緒にものづくりがしたい』と認識される企業であり続けられるよう努力する」と強い信念を包み隠さず見せる。会社は、言うまでもなく県内上位の規模を誇る老舗・優良企業である。しかし、その現実に甘んじる様子は微塵もなく、デジタル技術の活用、脱炭素・環境課題への取り組みなど、更なる挑戦に取り掛かることで「より明るい未来にできる余地はまだ多い」と可能性の追求を止めない姿が魅力的である。中村取締役の原動力は、かつて逆境で培った「立ち止まらずに動く」という不屈の精神。組織を進化させるための動きが終わる気配はなく、そのエネルギーは日に日に増している様相すらある。120周年という大きな節目に向け、この3年間で馬淵建設はどのような歩みを見せるのか。筆者は最前線を全速力で駆け抜ける、同社の過程に今後も注目していく。

Instagram:https://www.instagram.com/mabuchi.mzec/

新着記事

  • 2026.06.23

    AI駆使により、大高建設が可能性を拡張へ

     今年4月、大高建設(富山県黒部市)の代表取締役専務に大橋賢生氏が就任した。同年4月1日に創業80周年を迎えた同社。創業者を曽祖父に持つ大橋専務は、誰かに指示を受けた訳ではなく、自らの意志で「いつかバトンを引き継げる存在 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.06.19

    「VISION MAP」浸透を基軸に、角丸建設が新たな領域に挑む

     角丸建設(静岡県藤枝市)の代表取締役社長に、小倉達也氏が就き2年が経過した。親会社であるコニシ(大阪市中央区)の会長からの提案により、引き受けることにした重い責任。前職では、大手ゼネコンの営業責任者として組織を統括して […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.06.16

    WSが「GTK-1コンテスト vol.4」を開催

     今年の7月12日に、大阪市内で「GTK-1コンテスト vol.4」が開催される。同コンテストは、建設・土木・運送など現場で働く作業者をフォーカスし、仕事着から私服への「ギャップ」や「カッコ良さ」を競い合うイベントである […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.06.12

    最前線を意識した組織運営を展開 北斗工業

     北斗工業(北海道北斗市)は、足場仮設と電気工事の両輪で事業を展開している。代表取締役を務めるのは、山田正人氏。10代の頃に建設業に飛び込み、25歳で独立を果たした。現在は40人の社員と共に、未来に向けた飛躍を目指してい […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦