クラフトバンク総研

「変わらない心で、変わり続ける」。末長組が掲げる確固たる理念

更新日:2026/7/28

 今年1月に末長組(川崎市高津区)が、創業60周年を迎えた。代表取締役社長を務めるのは工藤尚樹氏。新卒として同社に入社したのは約40年前のこと。「当時はまだ小さな組織だった。しかし、その後に分譲マンション事業に本格参入したことが飛躍の転機となった」と当時を振り返る。それ以来、地元である川崎市を中心に、意匠性・機能性に優れた自社開発マンションを世に送り出し、現在は溝の口駅前で進行中の地上24階建てタワーマンション「(仮称)溝の口南口計画」など、大規模プロジェクトを基軸に活動を続ける。地域を代表するデベロッパーとして、その存在感を不動のものにしている。

 会社としての強みを、工藤社長は「デベロッパーでありながら自社で施工を担えること」と明言する。中間マージンを排除できることで、高仕様な設備の採用や価格の抑制を実現する。そこには「より良いものを、納得のいく価格で購入者にお届けしたい」という工藤社長が特別にこだわる、真摯な顧客ファーストの信念が貫かれている。川崎市特有の傾斜地で開発を続けたことで高度なノウハウを蓄積し、極めて高い施工力を培ってきた。近年は東京にも進出し、難易度の高い港区の開発案件でも、その卓越した技術力で信頼を勝ち取っている。

 引き合いの絶えない状況下にあっても、工藤社長は「急激な組織拡大は行わず、質の高い少数精鋭の部隊を育成することを考えている」と最優先事項を述べる。採用の主軸は新卒。近年では、建築の専門知識を持たない普通科出身の若手も積極的に受け入れており、0からでもプロに育て上げられる体制を構築している。部署を問わず全員社員が一度は施工現場を経験し、営業職であっても現場の過酷さ・緻密さを肌で体感する。このような経験が、あらゆる業務に対する深い説得力・信用力を生み出しているという。工藤社長自身が、キャリアを現場からスタートさせたからこそ実施できる経営手法であり、「現場を知るプロの育成」という伝統を守り、進化させていることが末長組の躍進を下支えしているようだ。

 工藤社長が目指す企業像は、「地域と共に、愛される街を創り上げること」である。この具現化を見据え、現在進行中の「(仮称)溝の口南口計画」の現場では、「仮囲いアートプロジェクト」を展開。現場の仮囲いには、地元・洗足学園小学校の児童らが描いた色彩豊かな風景が並び、道行く人の目を楽しませている。「この街で育つ子どもたちが大人になった時、今よりもっと自分の街を好きでいてほしい」と語る眼差しには熱が帯びている。創業60周年を1つの通過点として、既に末長組は次なる時代への大胆な挑戦を始めている。会社としてのモットーは、「変わらない心で、変わり続ける」。臨機応変な応対を可能にする末長組は、今後も未来を色鮮やかな街に変容させていくはずである。


関連記事:末長組が「仮囲いアートプロジェクト」完成式

新着記事

  • 2026.08.12

    新理事長の就任を機に、青山が鉄筋業の生き残りを模索

     今年5月に開催した石川県鉄筋業協同組合の通常総会にて、理事長に青山(金沢市)の青山毅士社長が就任した。20年もの間、1人で理事長を務めた小寺洋志裕氏(コデラ・代表取締役会長)から引き継いだ重責。青山社長は「今年度の予算 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.08.07

    DX駆使の矢野興業が、県内の生産性向上をサポート

    「それならば、全てを君に任せるから、責任を持って取り掛かってほしい」。  矢野興業(宮崎市)の辻清常務が、「今のやり方のままでは、必ず会社は潰れるので辞めます」と上層部に手紙を送った直後、現・会長の矢野文昭氏から電話で命 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.08.04

    「ホームデコ」が好調のフィディアが、時代に沿った経営を継続へ

    フィディア(鳥取県米子市)には、創業から公共工事を主軸としながら、リフォーム・ガーデニング事業である「ホームデコ」を、30年に渡り展開してきた実績がある。多様な組織の舵取りを担う人物が武良靖之社長。「時代の流れに沿った新 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.07.31

    全社員が力を発揮できる環境を整備 金子組

    「全社員が力を発揮できる環境を整える」。 社長に就任した当初の意気込みを振り返るのは、金子組(岡山県倉敷市)の金子太一社長である。会社は創業から60年以上も、日本全国の現場でトンネル坑内の施工を手掛けてきた。4代目の代表 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇